-この記事を読んで欲しい人-
・自社の広報力を強化したい経営者
・これからどんな広報戦略を策定していくべきか検討している事業部責任者
・日々の活動に課題を感じている広報担当者
BtoB PR/広報部門の組織体制はどうあるべきか? よくメディアで目にする魅力的な広報発信ができている企業はどのような人員配置をして活動しているのか? これまでのプロジェクト事例に基づいて俯瞰的に理解することができます。これをテーマに3回にわけて解説していきます。
■BtoB PR/広報部門組織の3つのレベル
JOINでは、BtoB PR/広報部門の組織体制を段階別に3つのレベルに定義しています。
レベル1:ひとり広報担当者
レベル2:専任広報チーム
レベル3:事業部別の広報スクラム
BtoB PR/広報の目的は、製品やサービスの認知を広げることの他にも、IRや採用、リスクマネージメント、CSRなど多岐に渡りますが、ここではわかりやすくするために一義的に「質の高い数多くのメディアに取り上げられ、それを通してファンを拡大して、売上と事業基盤の成長につなげる」こととします。
今回は「レベル1:ひとり広報担当者」について解説していきます。
●レベル1:ひとり広報担当者はどんな状況?
1名の広報担当者と上長(他部門の兼任統括)で運営しているケースです。スタートアップ企業や中小企業の多くはこのような「ひとり広報担当者」の組織形態です。大手企業であっても、複数の広報担当者はいるものの他業務との兼任状態にあるケースが多く見受けられます。
●レベル1:ひとり広報担当者のよくある課題
A. プレスリリースは発信するけれどもメディアに取り上げられない。
B. プレスリリースの内容は各事業部から上がってきたものを添削する程度に留まっている。
C. 担当者個人の人柄やスキルと組織の課題が混同されている。
年間に数回ある経営者や事業部から指示されたプレスリリースを自社サイトやSNSで発信。リリース配信サービスに登録してアーカイブとしては掲載されるものの、そこからの問い合わせやメディア取材にはつながらないケースです。広報担当者が仲介機能に留まってしまっていて、戦略的な広報活動ができていません。
広報担当者は社内外の人々とのやりとりが多いので、社内からコミュニケーション能力の高い人物がアサインされます。その企業の姿勢やカルチャーが体現されるので人柄の良さや、魅力的なプレスリリースが書けたり、ソーシャルで発信できるなどの個人的なスキル向上は大切ではありますが、そればかりでは継続的で全社的なBtoB PR/広報の向上にはつながりません。そういったことよりも、組織作りや仕組み化の方が重要です。自社がどういったBtoB PR/広報を目指していくべきかというビジョンと段階的な成長プランを描いていく必要があります。これは、広報担当者というよりも上長である広報責任者や経営者が考えていかなければならないことでしょう。
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●レベル2:専任広報チームに向けたネクストステップ
1. 自社の3年後のBtoB PR/広報がどのようになっていたいか未来のビジョンを定義する。
2. あるべき姿になるモデル企業を3社定める。
3. 個人のスキルの向上には、外部の講習(宣伝会議などのスクール)や、場合によってはフリーランスの経験者やアウトソーシングの登用が有効になる。
広報部門のミッションやビジョンが明文化されていないことが多いです。日々の業務に追われていて「いまさらそんなことはできない」とは言わずにやってみると、課題が整理されてBtoB PR/広報力をアップさせる助けに必ずなります。また、上長や経営者など全社的なオーソライズがとれないという場合でも、たとえ自分一人のためであっても、未来のビジョンは強力な支えになります。
未来のビジョンを作る際のきっかけは、現状の課題解決の方向で進めていっても良いですが、構想しやすいのは「自社のBtoB PR/広報の参考になるモデル企業3社を定める」ことから始めることです。1社目は自社と同じ業界の競合にあたる企業で良いでしょう。2社目は同じ業界から離れたBtoB企業。3社目はBtoBではなくBtoC企業で自分が好きなApple、SONY、patagoniaなどのブランドで良いでしょう。なぜ、そのブランドに轢かれるのか、その企業はどんなPR/広報活動をしているのかについて、仕事目線で見直すと自社の活動にも活かせるポイントが見つかるはずです。
モデル企業が、どんなタイミングや頻度で、どんな語り口やストーリーでPR/広報をしているか分析することで、自社のあるべき姿=未来のビジョンが見えてきます。未来のビジョンが明確になれば、プラン策定がしやすくなり、日々のタスクに落とし込む際も具体的で深いものにつながります。
個人のスキル向上については、「リリースの文章が上手く書けない」「経験が浅くて何をして良いかわからない」などの声をよくお聞きしますが、企業規模であったり広報が軽視されていたりと、社内での引き継ぎやトレーニングができていないのであり、これについては社内から学ぶよりも外部から習得する方が効率的です。オンラインでも網羅的なスクール講習があったり、PR会社によっては広報担当者養成のコンサルティングメニューが用意されています。また、ひとり広報担当者の段階からフリーランスの経験者やアウトソーシングを1年ぐらいの単位で登用して、自分はディレクション業務に徹していった方が組織の力につながることもあります。
次回は、BtoB PR/広報 部門の組織体制はどうあるべきか?連載その2「レベル2:専任広報チーム」について解説します。
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