悩ましい写真選び
太陽を背に走る女性、2枚の写真のうち、あなたはどちらの写真が良いと思いますか?
A
B
via: chasejarvis.com
微妙に構図が違う2枚の写真、片方は強い光を入れているもの(ちょっと技巧的)。フォトグラファの Chase Jarvisさんが実施したテストです。ぱっと見でBの方がインパクトがありランナーの躍動を感じます。とはいえ、Aの方がランナーの表情も読み取れて共感も感じます。
結論としては答えはないのです。これぐらいレベルの高い写真になれば多数決にしてもそれほど差も開かないはずです。コチラのサイトのコメント欄でも、個人の趣味趣向による選択や、広告であればその企画意図をどちらの方が汲み取れているかという話です。
私も写真をセレクトする際とても悩みます。まずは写真として楽しいか?次にピントが合ってるかw?クライアントのイメージに合っているか?構図はデザインに扱いやすいか?テキスト挿入しやすいか?などなど。結果として自分の好みがベスト1にならないこともあります。撮り直しはできないし結構大変です。
マーケティングの手法に、ABテストというものがあります。異なる2つのクリエイティブ(コピーライティングやビジュアルなどの訴求内容)を2つ並べてどちらが人気があるか(売上につながるか)を検証するものです。チラシDMの時代からありますが、ネットになってからテスト方法が格段に楽になりました。アクセスの半分はA、その残りはBを表示するだけです。また、新規顧客にはA、リピーターにはBという表示設定もできます。さらに、このユーザーの購買行動は以前にBを指示した人に似ているからBを表示するというソリューションもあります。
ただ、最近気にかかるのが、このABテストを安易に扱う人がいることです。(そんな人は結局テストを実施しなかったりするわけですが) 「ユーザーに聴いてみよう」は耳障りの良い言葉ではあります。しかし、しっかりとした企画とクリエイティブがなければそもそものボトル効果は低いままですし、決めないことは問題の先送りにしかならないケースもあるのです。そんなことでは継続的な成長は望めません。写真家やコピーライター、デザイナーは当然真剣に仕事をすべきで、プランナーはその意志を引き継ぎ昇華させるべきです。決裁者やプロジェクトに関わるものはその努力に敬意を払って対話を行い、さらにステージを引き上げる役割を担うべきです。