ニューノーマル時代のインバウンド営業/リード獲得/コンテンツマーケティングの良例
今回は、BtoBマーケティングのWebプロモーション施策のベストプラクティスをご紹介します。これからのニューノーマル時代のインバウンド営業/リード獲得/コンテンツマーケティングの良例です。
https://business.ntt-east.co.jp/content/camera/
親しみやすいキャラクターのイラストが使われ、一見、柔らかなこちらは防犯カメラソリューションの紹介サイトです。NTT東日本の法人向け事業部が運営しているようです。普段であれば見過ごしてしまうようなものなのですが、コンテンツの中の一つ一つの解説がとても細やかに作られています。
例えば、「(防犯カメラの映像を)いざ確認しようと思ったらハードディスクが壊れていた…」という表現ですが、普通であれば「クラウド収録で万全にバックアップ」みたいな表現になってしまうのです。企業・メーカー側のプロダクトアウトな内容ではなくて、ユーザー体験の視点になっています。
私たちも常にこれを心がけていますが、製品スペックやクライアントの諸事情などで砕けた(でも、わかりやすい)表現がどうしても出来なかったり、プロジェクトに長く携わっていると、自らもユーザー体験の立ち位置から企業・メーカー側の考えに傾いてしまったりします。実際にWebや紙のコンテンツを編集制作したことのある方にはこの難しさやジレンマを経験からわかると思います。
この防犯カメラソリューションのプロモーションを企画、制作された方は時間も掛かり社内調整などのご苦労も多かったと思いますが、ユーザー体験の視点を大切にされる優れたセンスを持たれていると感じました。一つ一つが難しくて複雑に関連するBtoBソリューションをわかりやすく、そして的確に望ましい見込み顧客に届けている良例です。
あくまでも推測ですが、【プロモーションの全体像】は、たぶんこんなような構成になっているのではないでしょうか。
1. SNS広告でターゲティング広告(経営者、事業主、不動産オーナー、店舗責任者など)
コント仕立ての動画で興味を喚起する。
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2. Webサイトに誘導して、ユーザー体験視点のコンテンツを読ませる。
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3. さらに知りたいという気にさせて、e-bookをダウンロードしてもらう。
企業名やコンタクト先を登録してもらう。(A)
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4. (A)の成約見込み確度を分析して、
高いセグメントには→電話コールやメールですぐにダイレクトアプローチ
低いセグメントには→メルマガやオンラインセミナー、特別オファーなどで継続的にアプローチ
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5. Webサイトを訪問したものの(A)にはならずe-bookダウンロードに結びつかなかった(B)に対しては、リターゲティング広告で再来訪を促進する。
※おそらく(A)2%:(B)98%ぐらいの比率
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6. (B)については企業IPアドレスを判別して、MAツールで中長期のマーケティングのプールに囲い込む。
ターゲット像やリストをブラッシュアップして、次のプロモーション活動サイクルにつなげる。
企画設計、コンテンツ企画と制作、イラストやWebデザイン、e-bookの編集、動画制作、SNS広告などで、予算はおそらく1500万円以上は掛かっていそうな印象ですが、ニューノーマルの時代で直接の営業活動や展示会出展ができないので、それらの手間やコストを考えればとてもリーズナブルで、見込み顧客の開拓を休まずに続けてくれる優れた施策です。
僭越ながら、私たちJOINが付け加えるとすると、「よりリアルなユーザー体験の視点」です。実際の導入事例を取材して、導入にあたり苦労した点、関係者や技術的に調整しなければならなかった点、業種業態毎の導入形態やチェックリスト(稟議支援)、初期とランニングのコストなど、「本当に気になるポイント」を掘り下げていくことを提案すると思います。そのことが効果的な営業活動に結びつきます。
もう一つは「社会課題の解決」の視点です。数年前と比べると世相はだいぶ変化してきており、防犯カメラ=監視カメラとして捉えられる傾向は減っては来ていますが、AI映像解析はますます民生化されてきており、ユーザーが撮影の是非や運用のあり方に懸念を抱くこともあります。担当者や経営者にとっては導入にあたって検討しなければならない避けては通れないポイントです。プライバシーへの配慮を運用の方法や技術面で担保しながら、ソリューションのメリットを享受することが大切になってきます。そういった点にフォーカスして、メディアに訴求していくのもプロモーションの助けになります。