どちらがお好み?
2015.10.07
WEBサイトやカタログを作るとき、何パターンの中からデザインの方向性を選ぶことが一般的ですが、「何を基準に選定するか」が重要になります。ただ、かっこいい、わかりやすいだけではダメなのです。
自分たちがPRや販促をしようとしている商品・サービスの受け手である顧客はどんな人たちで、どんな嗜好を持ち、どんな刺激を与えれば購入に前向きになってくれるのか。それらを深く考え、基準を明らかにしていく必要があります。一人の天才経営者やデザイナーであればその判断基準は明確になりますが、組織で立場も異なる複数の人々がジャッジしていくのはとても大変です。
Apple Watch の方向性が異なるCMを紹介します。ひとつは、2015年4月に公開されたもので、利用シーンを映画のように紡いでいきます。ユーザー体験を見事に描いています。
そして次は、2015年10月に公開されたCMです。背景を削ぎ落としシンプルな演出をしつつも、エモーショナルな体験を見事に表現しています。以前のiPodの踊り狂うロックなCMの印象にも近いですね。
2つを比べると同じ商品とは思えない印象ですが、これは商品のプロダクトサイクルのステージがアーリーアダプター(真っ先にApple Watchを買ったギークな人たち)から、次の購買層に移行していく過程にあり、そのための変化なのです。
もっとも、Apple以外のブランドが、Appleのような表現を真似ることが増えてきたのも変化の大きな原因でしょう。強いブランドは常に自分たちが作ったものを壊して、次に進まないといけません。大切な基準を保ち、育てながら。