「プロジェクトを起こす際に、プロジェクト全体を表す詩を作る ある自治体の職員」
朝日新聞の一面の左下に「折々のことば」というコーナーがあります。鷲田 清一さんという哲学者が毎日綴る400字ぐらいの小さなエッセーです。哲学者というと難しいイメージですが、鷲田さんの文章はとても平易で「折々のことば」では著名人や、普通に暮らす市井の人々の言葉を取り上げて、紹介してくれています。
#鷲田さんの書かれた、特にオススメの書籍は「京都の平熱」です。お寺や伝統文化といった画一的な京都のイメージを覆してくれます。
2019年2月5日(火曜日)の朝日新聞「折々のことば」では、こんな言葉が紹介されていました。「プロジェクトを起こす際に、プロジェクト全体を表す詩を作る ある自治体の職員」
プロジェクトの立ち上げ時に、メンバーが実現したい未来を文章で描くということです。鷲田さんはこう解説します。現時点で想定できる目標より遥か向こうに届くイメージを喚起するためか、あるいは「絶対こっちだよな」という方向感覚を共有しようとしてか。いずれにせよ人の心を波立たせる提案だ。
JOINの提案資料やプロジェクトキックオフ資料にも、冒頭にこのような「詩」がつけられています。JOINではそれを「ストーリー」と呼んでいます。少し大きめのフォントでA4用紙一枚のボリュームです。僕らは、どんな課題に向き合うのか、どんな気持ちで取り組むのか、その先にはどんな未来があるのか。そんなことを語っています。
ストーリーを策定する目的は、お客様(顧客)も含むプロジェクトに関わるメンバーがイメージを共有するため、そして未来を共に創造できるようにするためです。少し恥ずかしいぐらいにポエムでもありますが、この「ストーリー」をプロジェクトスタート時に共有することはとても意義があります。いわば、迷ったり妥協してしまいそうな時の心の拠り所であり、言霊です。
ビジュアルにしたり、映像にしたり、ストーリーをいろいろな表現でまとめてきましたが、文章であることが一番なのではないかと思います。使っている言葉や行間にも想いが込められて、また各人の想像の余地もあるからです。
マーケティングだから、BtoBだから、といってロジックや数値、効率化だけではプロジェクトは決して成り立ちません。ポエムのようなストーリーを創造して周囲に広げられるようなメンバーがプロジェクトには不可欠です。特に立ち上げ時には重要です。
また、最近、人材育成のコンサルタントの方に面白いことを教えてもらいました。「PDCAを回しすぎると組織は疲弊する」 うーん、考えるほどなかなか深いです。