株式会社ジョインでは、BtoB PR/マーケティングについてのマーケットレポートを提供しています。2020年3月25日発行の今号は、コロナショックの影響が BtoB PR やマーケティングにどのように影響してくるかか、 そこへの打ち手はどんなことが考えられるかについて、集中的に考察してみました。
【マーケティング展望】多くの企業がリード数の減少を心配している。
2020年3月下旬現在、コロナウィルスの影響が出ているとニュース番組で取り上げられているのはインバウンド観光、飲食業などBtoC事業が中心であるが、その後ろにある物流や資材製造などBtoB分野にも大きな影響が出ていると思われる。それらはニュースとして取り上げられることは少ないが、夏に向けて顕在化していくと予測される。モノの国境間の行き来きが完全にストップされれば事の重大さは計り知れない。
マーケティング分野においては、リモートワークのためのオンライン会議、勤怠管理などのソリューションといった一部を除いて、見込み企業からの問い合わせや資料請求などのリード数が減っている。短くとも2020年上期は多くの企業がリード数の減少に苦慮する期間が続く。
リードに繋がるオンライン参加者の獲得に大苦戦する。
BtoB企業のマーケティング担当者の関心は、これまでイベントや営業活動といった対面で獲得していたリード数の減少を何で補っていくかと考えていくようになる。そこで、オンラインセミナー(ウェビナー、動画配信)やリモートセールスにこれまで以上に注力していくことになる。これまでは対面マーケティングの補足的な存在であった取り組みが本格化されることになる。マーケティングオートメーションの導入で充実していったのと同様に、見込み顧客を掘り起こすコンテンツが増えて進化していく。
しかし、どんなにコンテンツが充実しても、優良なリードに繋がる参加者の獲得の仕組みや工夫は一朝一夕には実現することができず、大苦戦すると思われる。つまり、良い施策は出来たけれど人が集まらないという状況が続いていく。
広く浅くではなく、狙いを定めた営業活動へのシフト。
人が集まらない状況に対して、集客施策として広告やキャンペーンが一定以上は必要であるが、自社にとって本当に望ましい顧客へのリードに繋げることは難しい。そもそも顧客企業は人件費や新たな施策実施のための投資に躊躇している。そこで、広く浅いターゲットではなく、これまでも得意な業界、これからの望ましい顧客へのピンポイントの手厚いアプローチが必要となってくる。
【イベント展望】オリンピック延期で来年も会場が使えない。
2020年夏の東京ビッグサイトなどの都内近郊の大規模イベント会場はどこも抑えられて一般企業のビジネス展示会には使用できなかったが、この状況が来年以降にも引き続き大きな影響をもたらす。通常、ビジネス展示会の開催概要は1年半前までには決定され、1年前には募集を始める。仮にオリンピックが2021年夏に12ヶ月延期された場合、主催者は2021年度半ばまでビジネス展示会の計画を立てることができなくなる。出展者は2年分に値する展示会からの期待リード数を失い、他の施策で補っていく必要が出てくる。
海外のビジネス展示会は開催形式を変革していく。
そもそも出張渡航や駐在も難しくなる中で、ビジネス展示会の中止や延期は国内のみならず世界中に広がっていく。これまで出展者や来場者にあった「なんとなくの要望〜現物を見たい、対面で接客したい、講演をしたり聴きたい」ということは不可能になる。これを機に「一つの会場や都市に世界中から人が集まる」という開催形式はダイナミックに変化していく。主催社にとって出展社から予算を獲得して年間運営していくという事業モデルは変えたくないので、次の新しいビジネス展示会のあるべき姿が模索されていく。それは日本国内よりも海外の方が変化への対応力があるので劇的な変革が進んでいくと思われる。ネット上での展示会は20年以上前から開催されてきたが集客やマネタライズができないでいた。そこへの新たな一手が生まれることを期待したい。
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